民事法務

成年後見・遺言・相続手続 > 遺言書作成について

[ 遺言書・遺言状を書くメリット ]

後の相続の争いの防止

 

 遺言があれば、遺産分割協議書がなくても、不動産の相続登記ができるので、相続人間で争いになっても、指定した相続人に不動産を相続しやすくさせる事ができます
 特に、『子供のいない夫婦』、『不動産(自宅のみ)位しか財産がない』、『相続人以外の人に財産を渡したい』場合には、遺言をすることをお勧めします。

相続財産が多い人より、少ない人の場合は揉める可能性があります。

 

 

[ 遺言書作成の効果 ]

遺言書がある場合には遺言の内容が法定相続分より最優先され、遺言者は自分の意思通りに財産の分配を決めることができます。

 

 遺言書は亡くなった方が生前に遺言として残された意思は遺言という形で実現できるように法律で規定されています。ただし、遺言書にはどんなことでも書けますが、すべてが法的に有効なわけではありません。

 以下に、遺言書で指定できる事項についてまとめておりますので、ご参考になさってください。

◆財産の処分方法

誰に何をどれだけあげるか指定できます。

 

◆相続分の指定

法定相続分を変更できる。 ただし、相続人は最低限保証された相続分(遺留分)があります。遺留分を侵害された相続人が他の相続人に遺留分の請求をする可能性がありますので、遺言書作成にあたっては注意が必要です。

 

◆負担付遺贈

条件付で財産を遺贈することを負担付遺贈という。例えば「長男に自宅を相続させるので妻の面倒をみて欲しい」など。 ただし、相続発生後、指定した人が遺贈を放棄する可能性もあるので、生前に相手に了承を得ておくことが大切です。

 

◆遺産分割の禁止

遺産分割をめぐって問題が発生しそうな場合、自分の死後一定期間(最長5年間)、遺産分割を禁止する遺言もできます。その間は相続人で共有させられます。

 

◆相続人の廃除、廃除の取り消し

遺言者に対し、虐待侮辱など、重大な非行をする相続人がいる場合は、相続人から廃除する旨の遺言ができます。その場合は遺言執行者が家庭裁判所に廃除の申し立てをします。また、生前にすでに相続人を廃除していた場合は、遺言で廃除を取り消すことができます。

 

◆子供の認知

事情により、生前に認知できない子供がいる場合は、遺言書で認知することができます。その場合その子供は非嫡出子となり、相続分は嫡出子の2分の1となりますが、遺言により非嫡出子の相続分を増やすことも可能です。

 

◆遺言執行者の指定

遺言の内容を実行してくれる人を遺言執行者として遺言書で指定することができます。 たとえ遺言を残したとしても相続人がその内容のとおり遺産分割するとは限りません。遺言執行者の指定は確実に内容とおりに実行されるために有効です。遺言執行者には基本的に誰でもなれます。(相続人や受遺者もなれます)

 

◆後見人・後見監督人の指定

すでに配偶者が亡くなっていて、まだ子どもが小さい場合など、本人に代わって子どもの監護や財産管理を行う後見人を遺言で指定できます。

 

◆相続人間の担保責任の指定

遺産の価値が低下した場合など、遺言により、その低下分を特定の人に負担させるなど担保責任の内容を指定することができます。民法ではこのような財産の価値が減った分を他の相続人が金銭等で穴埋めするように定めており、これを「担保責任」といいます。

 

◆遺留分減殺方法の指定

遺留分の侵害で、遺留分の権利を主張されたり、遺留分の支払いの請求などがある場合、どの財産から支払う(減殺する)かなどの手順を遺言書で定めることができます。

 

 

[ 遺言書に書いて法的効力のあるもの ]

遺言書が法的効力を持つのは、相続、身分上の行為、財産の処分に関する行為に限られます。

 

 上記にもあるように、遺言書で指定できるもの・法的効力のあるものは限られています。

 以下に、遺言書に書いて法的効力のある事項についてまとめておりますので、ご参考になさってください。

◆身分に関する事項

認知、後見人・後見監督人の指定

 

◆相続に関する事項

相続人の廃除とその取り消し、相続人の指定・指定の委託。

遺産分割の方法の指定・指定の委託、遺産分割の禁止、相続人相互の担保責任の指定、遺言執行者の指定・指定の委託、遺留分減殺方法の指定。

 

◆財産の処分に関する事項

遺贈・寄付行為(財団法人の設立)、信託の設定。

 

 

[ 遺言書の種類 ]

ひとくちに遺言書といっても、いくつかの種類があります。

 

 遺言書には定められた種類があり、その書き方・特徴がそれぞれ異なります。

 以下に、各遺言書の種類についてまとめておりますので、ご参考になさってください。

①自筆証書遺言〔遺言者が全文自筆・証人不要〕

遺言者本人が自筆で書き、押印するだけで作成できる、最も簡単な遺言です。しかし、その反面、偽造、変造、隠匿当に遺言者の筆跡なのか争いになる、といった問題が生じる場合があります。さらに、形式不備や、記載された文字が不明確、記載された財産が特定できないなどの理由によりせっかくの遺言が無効となる危険もあり、実際にそのような問題も多く発生しています。

 

②公正証書遺言〔公証人が作成(口述筆記)・証人2人上〕

☆おすすめです!
公証役場において公証人が口述筆記で作成します。作成された遺言書は公証人役場の金庫に保管されるので偽造変造、隠匿の心配はありません。しかし、証人が2人以上必要となるため、一般の人が証人となった場合に遺言の存在や内容が外部に漏れるおそれがあります。
(弁護士や行政書士が証人となった場合には、職務上の守秘義務があるため、外部に秘密が漏れる心配はありません。)

 

③秘密証書遺言
〔本人又は代筆、ワープロ、タイプライターより作成・公証人1人、証人2人以上〕

遺言の内容を秘密にしておける遺言です。公証人1人と証人2人以上の前に封書を提出して、自己が遺言者であることを申述します。